おそるべし韓国企業
日本がサムスンに勝てない理由
野口 透 著
最近読み終えた本をご紹介します。
「LOOK KOREA」-韓国を見習え!
こんなTV番組多いですね。サムスン、LGのこのようなところが素晴らしい。
また、世界の薄型TVのシェアは、サムスンが1位、LGが2位。ソニーと
パナソニックを合わせてもサムスンのシェアに届かない。株価でも同様に、
ソニーとパナソニックを合わせてもサムスンの時価総額に追いつけません。
この本では、サムスン、LGほか韓国企業の強さは、
1、企業の意思決定の早さ
2、徹底的な能力主義、社内競争
3、トップのリーダーシップ
4、グローバル経営
5、マーケティング
にあると言っています。
上記は企業内のことですが、もう1つ重要な要因は、国策として国が全面的に
バックアップするところです。
6、税金面の優遇
実質法人税負担率 サムスン10.5%に対してシャープ36.4% その差約1,600億円。
7、ウォン安政策
リーマンショック後、日本では20%円高になったのに対して、韓国では40%ウォン安。
8、FTAにより関税撤廃
李明博大統領になってからは、さらにエスカレートしています。
韓国の人口は、約4,800万人。市場規模が小さいため、輸出に頼らざるをえません。
そのため海外進出は必須なのです。
では、ひたすら賞賛の声だけかといいますと、もちろん違います。
TVの「LOOK KOREA」に騙されてはいけません。
サムスンが世界中の家電市場でシェアを伸ばしているのは事実です。
価格の安さだけではなく、マーケティングによるその国に合った商品、デザイン、
そして圧倒的な広告費により一人勝ちとも言われます。
しかし、韓国国内ではどうでしょうか。
上記をよく読んで頂ければお分かりになりますが、中規模国家の一番の大企業が、
日本の企業の税金の3分の1も払っていない。ウォン安政策のための資金。FTAに
よる農業、漁業、畜産業への大打撃。と少々無理をしているようにも思えます。
誰かにしわ寄せがきます。誰かが負担しなければならないのです。
また、サムスン、LGほか大企業は成長しましたが、日本のように中小企業が部品を
作り裾野を支える供給体制はできていません。韓国製品の半分は日本製と言われる
のはこのためです。
また、雇用でも非正規社員が50%で問題となっています。日本は30%(これも大問題)。
またTVで大学の入試の様子が伝えられますが、あのように難関を乗り越え一流大学に
入っても、半数が卒業時に就職が決まっていないそうです。
失業率も3.6%が政府発表ですが、実際は13%前後。
国策として国が全面的にバックアップしても、大企業は雇用を増やそうとしていません。
「サムスン電子の好業績の陰で苦しむ韓国民」なのです。
大企業に政策を集中するために、貧富の差が開いています。
先日、韓国の求職サイトが、韓国内の男女会社員932人に行ったアンケート調査で、
「移民が可能であれば韓国を離れたい」との回答が76.1%になったそうです。
あれほど愛国をうたう国民の4人に3人が、国を離れたいというのが現状です。
経済的な格差問題、福祉政策、北朝鮮との安全保障などが理由だそうです。
大企業は育ったが、そのしわ寄せが国民にきています。
数字でも1人当たりのGDPが下降しています。誰かが負担しなければなりません。
日本のTV番組とのギャップを感じませんか。
K-pop、私の周りで聞いている人がいません。
「冬のソナタ」は確かに見たという人も多く、影響で韓国に行った人も知っています。
しかしブームに過ぎず、その後は冷めたという人ばかりです。
また、韓国のことを伝えるのが好きなはずの日本のTV局は、韓国の口蹄疫は見て
見ぬふりです。
いかがでしたでしょうか。TVが伝えない現状。
LOOK KOREA。光と影。