日銀の異次元の金融緩和策から１年が経ちました。
２年を目安に、２％の物価上昇、市場に供給するお金の量（マネタリーベース）を２年間
で倍増させる金融緩和策です。国債だけでなく、ETF・上場投資信託やJ-REIT・不動産
投資信託などのリスク資産も買い増します。
ニュースを見ていますと、この１年という単位で語られていますがちょっと違います。
１年半前の自民党総裁選で安倍晋三が勝利したところからマーケットの動きが変わりま
した。そして、国会の党首討論で民主党・野田前総理と安倍総裁との党首討論で衆院選
が決まり自民党勝利、安倍総理の誕生。
次に日銀総裁に黒田東彦氏、副総裁に岩田規久男氏が就任。そして、参院選で自民党
勝利によるねじれ解消。安倍体制が固まり２０年続いたデフレから脱却しようとしています。
２０１２年９月２８日の自民党総裁選前日の相場。
東京外国為替市場、１ドル￥77.7、１ユーロ￥100.2。日経平均株価、￥8,906。
２０１２年１１月１５日の野田総理と安倍総裁党首討論翌日の相場。
東京外国為替市場、１ドル￥80.1、１ユーロ￥102.1。日経平均株価、￥8,829。
２０１２年１２月１７日の衆議院総選挙翌日の相場。
東京外国為替市場、１ドル￥84.0、１ユーロ￥110.5。日経平均株価、￥9,886。
２０１３年３月１３日の日銀・黒田総裁決定前日の相場。
東京外国為替市場、１ドル￥95.7、１ユーロ￥124.8。日経平均株価、￥12,268。
２０１３年７月２２日の参院選翌日の相場。
東京外国為替市場、１ドル￥99.8、１ユーロ￥131.4。日経平均株価、￥14,528。
では、なぜ安倍晋三がリーダーになることでマーケットは好感し好転したのでしょうか。
それは、第一次安倍内閣退陣後、経済学を勉強し現在の潮流であるリフレ派の影響を
受けていることが伝わったからでした。そして、人間性。政治家、閣僚、市場関係者に
も安倍新派は意外と多いそうです。
シリア情勢やウクライナ情勢など外的要因も影響しながら数字が回復しています。
数字を追うとはっきりしておもしろいですね。
本日の東京外国為替市場では現在、１ドル￥102.9、１ユーロ￥141.4。
日経平均株価は￥14,626、ＮＹダウは16,245.8ドル。
１ドル￥１００～￥１１０が適正相場と言われます。つまり現在は、円安ではなく適正な
相場になっただけの話です。失われた２０年、民主党３年間の為替介入しかない無策
から強い日本の経済の復活が待たれます。
本日の金相場は、ＮＹ商品取引所で前週末比5.2ドル安の１トロイオンス1298.3ドル。
プラチナ相場は、前週末比23.1ドル安の１トロイオンス1,426.3ドル。
原油相場はＷＴＩで、前週末比0.70ドル安の１バレル100.44ドル。
【日米英中ユーロ マネタリーベースの推移】 【円・ドル・ユーロ】
≪マネタリーベース Monetary base≫ 日銀ＨＰより
マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」のことです。具体的には、市中に出回っ
ているお金である流通現金（「日本銀行券発行高」＋「貨幣流通高」）と「日銀当座預金」の
合計値です。
マネタリーベース＝「日本銀行券発行高」＋「貨幣流通高」＋「日銀当座預金」
日銀の今月２日発表した３月末残高は、２１９兆８８５５億円で過去最高を更新。
１年前２０１３年４月は、１４９兆５９７５億円。２０１２年４月は、１２１兆５００３億円。
アメリカは無制限緩和で、リーマンショック前からマネタリーベースを３倍以上に増やしまし
た。そして、ユーロ圏は無期限緩和で２倍以上にしました。日本は、戦後のインフレが日銀
にこびりついていたため後手に回り、円高という一人負けが続いていました。無難な政策で
だれもリスクを取らない官僚政治の悪いところです。同時に政権内に経済に精通している
政治家がいないと言う無様な姿でした。行動力もなし。
本来は、マネタリーベースを倍にするというのはしないにこしたことはないですが、アメリカ
とＥＵに対抗するためにはやらなければならないことでした。
安倍総理によるアベノミクスと日銀の黒田総裁の異次元緩和。
リスクを取り、マーケットとコミュニケーションできる二人のリーダーにより欧米並みの金融政
策となりました。マスコミが心配した長期金利も安定しており、なにか有事があると円高にな
る「円」の神通力も世界で健在です。
アメリカの金融緩和・ＱＥ３は、量的緩和の縮小は織り込まれゼロ金利政策の解除へと焦点
が移っています。出口戦略の難しさは悩ましいとこです。
上図のように中国は、２０００年から経済発展を理由に４倍に増やしていますが、本当はもっ
と増やしていると言われます。信用力や裏付けのない元の怖いところです。
お金の供給は増やせばいいというものでもありません。インフレ率を考えながら、根拠のある
信用に支えられています。紙幣は所詮紙ですので、発行元の信用が必要です。
江戸時代、幕府の財政が悪くなると大判小判の金含有率を落とした「悪銭」が作られました。
それにより、貨幣の信用が傾き悪性のインフレを招くという悪い循環となりました。
これらに関連することわざを２つ。
・びた一文
「びた」は、鐚銭（びたせん）のことで粗悪な銭貨を意味します。 「鐚」は、金と悪を合わせた
漢字。時代劇で、びた一文払わねぇ、というセリフがよくあります。
・悪貨は良貨を駆逐する
良質の貨幣（金の含有率が高い）というものは、いざという時のために貯められてしまいます。
反対に質の悪い貨幣は、価値が下がる恐れがあるために、消費され流通性が高くなるという
経済理論。グレシャムの法則といいます。
現在は昔と違い貨幣ではなく紙幣ですので、金の含有率で良貨と悪貨に分けられません。
良貨と悪貨は国の信用力により、その国の資産や負債、政治、外交、軍事、歴史など様々な
もので判断されます。金と同じく安全資産と見られている「円」。この信用を保つことが日本の
国益です。
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