WHAT IS LIFE? 生命とは何か
ポール・ナース著 竹内薫 翻訳
DNA「文字」三0億個分の長さがある、われわれのゲノムは、性別、民族、宗教、社会階
級にかかわらず、とてもよく似ている。こうした平等性は、世界中の社会が十分に理解す
べき重要な事実だ。P072
ダーウィンは進化という考え方を裏づける観測結果を貪欲に集め、進化が働く方法を説明
する、自然淘汰という美しいメカニズムを考え出した。彼は一八五九年に出版した「種の
起源」ですべてを明らかにした。生物学のあらゆる素晴らしいアイデアの中でも、おそら
くこれが、(一番理解されているとは言えないまでも)いちばん有名だろう。P082
さらに、自然淘汰が効果的に機能するためには、生物は死ななければならない。なぜなら、
競争上強みのある遺伝的変異を持っている可能性がある次の世代が、古い世代に取って
かわることができるからだ。P090
細胞ひいては生体構造は驚くほど複雑だが、突き詰めていくと、理解可能な化学的かつ物
理的な機械だ。この見解は、今では、生命についての一般的な考え方になっている。今日、
生物学者は、こうした洞察を踏まえ、驚くほど複雑な生きている機械の全部品の特性を明
らかにし、分類しようとしている。P146
われわれを取り巻く生き物の世界は、尽きることのない驚きを人間にもたらす源であり、
われわれの存在そのものを支えてくれている。P227
物語のはじまり
生命の化学的基礎におけるこうした深い共通性は、驚くべき結論を指示している。
なんと、今日地球上にある生命の始まりは「たった一回」だけだったのだ。もし異なる生
命体が、それぞれ何回かにわたって別々に出現し、生き延びてきたとしたら、その全子孫
が、これほどまで同じ基本機能で動いている可能性はきわめて低い。P245
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【WHAT IS LIFE? 生命とは何か ポール・ナース著 竹内薫 翻訳 】
この本の内容は、「WHAT IS LIFE? 生命とは何か?」という大きな問いに対して、「細
胞」「遺伝子」「自然淘汰による進化」「化学としての生命」「情報としての生命」から
「やさしく解き明かす」とありました。高評価のレビューも多く、最高の本と評価されて
いました。著者は、2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
読み終えると、あの評価はなんだったのだろうという思いだけが残りました。分かりにく
いのではなく、最初に解き明かすとされていた答えはありませんでした。
2021年6月6日(日曜日) 本日は定休日でした。