全国宝石学協会(全宝協)は鑑定書や鑑別書を発行する
大手の宝石鑑定機関です。
AGTジェムラボラトリー、中央宝石研究所と日本の
宝石鑑定機関の3大メジャーと呼ばれていました。
そんな大手の鑑定機関が、「ダイヤモンドの不正鑑定の疑い」と
数ヶ月前からニュースになりました。
ダイヤモンドの価値は4Cに大きく関係します。
caratカラット、colorカラー、clarityクラリティー、cutカット。
今回は、カラーグレードが問題になりました。
FカラーをDカラーに、IカラーをHカラーにというふうにです。
かさ上げか?と報道されています。
全宝協は、不正鑑定を否定しましたが、「業界に迷惑をかけた」
として宝石鑑別団体協議会(AGL)を自主退会しました。
その後AGLは、全国宝石学協会の鑑定したダイヤモンド1052個を
再鑑定し、13.2%にあたるものはAGLのグレードに対する信頼性
を著しく傷つけるものであると判断しました。その結果、
AGL理事会は全国宝石学協会を除名処分相当としました。
全国宝石学協会の鑑定はもともと中央宝石研究所と比べると甘い
鑑定でした。今回の事は、容認できないくらいということと
故意にということでです。
数年前に実験しました。
同じダイヤモンドで全宝協と中宝研を比べると、
上画像、中央宝石研究所ソーティング
carat 0.285ct
color E
clarity VS-1
cut FAIR
上画像、全国宝石学研究所ソーティング
carat 0.286ct
color E
clarity VVS-2
cut FAIR
この比較では、クラリティーが1ランク違いました。
これは、かさ上げではなく、厳しさ・甘さです。
では、なぜそのような不正鑑定を行ったのでしょうか。
鑑定機関も商売だからです。
1つのダイヤモンドの鑑定が、¥1,500(1ct未満)です。
お得意様から「ちょっとお願い」と囁かれたのでしょう。
今回の不正の多くは、1カラットオーバーのものです。
1ランクの違いが売買では大きく金額に差がでます。
百貨店は、この鑑定書付きの商品の対応に追われているようです。
1つ追記しておきますが、今回の事はあくまで”かさ上げ”です。
つまりキュービックジルコニアをダイヤモンドと鑑定したのでは
ないです。偽物を本物としたのではなく、すこしランクを上げて
しまったのです。
【全国宝石学協会の不祥事】