改正臓器移植法に基づき国内で初めて法的脳死とされた15歳未満の
男子の臓器摘出が行われました。臓器は全国5病院に搬送されました。
両肺は東北大病院で50代女性、肝臓は北海道大病院で20代男性、
膵臓(すいぞう)と片方の腎臓は藤田保健衛生大病院(愛知県)で
30代女性、もう一つの腎臓は東京女子医大病院で60代男性に移植
されました。心臓移植は大阪大病院で10代男性に、
「18歳未満の提供者からの提供先は18歳未満を優先する」という
国の基準が初めて適用され行われました。
15歳未満からの脳死による臓器提供は、昨年7月に全面施行された
改正臓器移植法で可能になっていました。
WHO(世界保健機関)は臓器売買を禁止するため、移植指針により移植
手術による自国の臓器の需要は自国で供給することを求めています。
腎臓移植は中国など東南アジアへ行って行われていましたが、臓器売買
にあたるとの批判がありました。
また、子供の移植手術は今まで主にアメリカで行われていましたが、
アメリカの子供が死ぬかもしれないと順番を待っているところに、他国
の子供が先に手術されることに批判がありました。
なぜ外国の子供が先かと、理解し難いと思うのは普通だと思います。
また、日本からでは1億円以上の経費がかかり募金等で賄われています。
日本では長年、反対派の抵抗があり臓器移植が停滞していましたので、
医師の技術の上達に少し時間が必要かもしれません。
日本で初めての心臓移植手術は、1968年8月8日に和田寿郎氏を主宰とする
札幌医科大学胸部外科チームが、世界で30例目となる心臓移植手術を実施。
いろいろな疑惑もあり、和田心臓移植事件として刑事告発される。
捜査の結果、告発された殺人罪、業務上過失致死罪、死体損壊罪のすべて
で嫌疑不十分で不起訴。
奇しくも和田寿郎氏は、2ヶ月前に88歳で亡くなりました。
ではなぜ反対派の人たちは反対するのでしょうか。
移植手術をしないと助からない子供が大勢いるのにです。
-脳死は人の死ではない-という考えが挙げられます。
脳死判定の後も髪も爪も伸び、臓器は動いています。
稀に脳死判定の後、数ヶ月数年後に意識が回復するという事例も
あるそうです。脳死判定が間違っていたのか、それとも驚異の回復が
あったのかです。
・他人の臓器をもらってまで生きようとするのは自然に反することで、
このような医療は行うべきではない。
・移植を待機する患者には、自分が生きるために他人の死を期待する感情
さえ起こる。移植は人間性を歪める医療である
・移植に替わる医療はある
上記は、臓器移植反対派のサイトからコピーしました。
脳死とは(社)日本臓器移植ネットワークによると、
脳全体の働きが無くなり、人工呼吸器などの助けがなければ心臓が停止
していまう状態。脳死になると、どんな治療をしても回復することはなく
、心肺停止に至る。
植物状態は、脳幹の機能が残っていて自分で呼吸できることが多く、
回復の可能性がある。脳死と植物状態は別。
臓器移植の最大の問題は、臓器提供者の脳死判定です。
本当に回復の見込みがないのかということです。
臓器移植の反対派は、脳死と判定された方の生きる権利を、
賛成派は臓器移植を提供される方の生きる権利を主張しています。
一概に反対派を糾弾するのではなく、賛成と反対、提供する側とされる側、
両方の観点から見ないといけません。
物事をなんでも単純にとらえすぎると本質が見えなくなります。