学問のすゝめ
福澤諭吉 著 檜谷昭彦 現代語訳
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言われている。天が人間を生じせしめたと
きから、万人はみな同じ地位・資格を持ち、生まれながら平等であるということだ。貴いとか賤し
いといった身分上下の差別などない。
しかし、広く人間社会を見渡すと、賢愚・貧富、さらに貴族や身分の低い人など、人間の暮らしに
は、まさに雲泥の差がある。なぜだろう。
その理由はまことにはっきりしている。「実語教」という修身の本には、「人、学ばざれば智なし、
智なきものは愚人なり」とある。つまり、賢人と愚人の違いは、学ぶか学ばないかによって決まる
のである。
これらは人間だれもが学ぶべき”実学”であり、身分・貧富の差もなく、すべての人間が身につけ
て当然の学問なのである。この学問が身についてこそ、それぞれの立場で自分の務めを果たし、
家の仕事を営むことができるのである。それが一身の独立である。ひいては家の独立であり、
国家の独立につながるのである。
最近、明治の本を読んでいます。大分県中津市で育った福澤諭吉の名著。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」が有名ですが、上を読んでも分かるようにこの
言葉の主旨は違います。平等ばかりが広まり、結論の独立が抜けています。150年前からなの
か、戦後にそうなったのかは知りませんが。
国家が恥辱を受けたときは、日本国中の人民一人残らず、命を捨てて国家の名誉を守り抜くこと
にこそ、一国の自由・独立はあるのである。
つまり一国の圧政の原因は、一人の暴君や権力者のせいだけではない。人民の無知がみずか
ら招くわざわいでもあるのである。
人間の勇気は、読書からのみ得られるものではない。読書は学問の手段である。学問は実践へ
の方法である。実地に臨み経験をふんでこそ、勇気と力が生まれるはずである。
しかるに、世間の父母は子どもをやたらに作るものの、その子を教育する方法を知らず、自分は
女遊びやバクチ・酒食に明け暮れている。そのあげく借金が重なって家庭を破壊し、ついには依
怙地になって子どもに向かい、親を助けて働け、と責めるようになる。なんたるハレンチか。なん
たる恥知らずか。
まとめて言えば、われわれの責務は、現代社会に活動の跡をいきいきと遺し、これを遠い後代に
伝えようとすることにある。その責任はまことに重い。単に数冊のテキストを読み、商人、職人、
役人になり、妻子を養えばすむものではない。それは他人の迷惑にならないだけであり、他人の
役に立つことにはつながらない。
インドの文化、トルコの武力が、自国の文明発展に寄与できなかったのはなぜだろう。人民の考
えが自分の国のなかだけにとどまり、その状態に満足して外国と比較せず、外国のすぐれたとこ
ろを見なかったことにある。同時に国民が平和に慣れ、内輪喧嘩をくり返し、国際的な経済力に
負けて、いつのまにか国力をなくしたからである。
しかし、事実を単純に信じるな、とは言うものの、疑うばかりではいけない。なにを信じ、何を疑う
か、選択する力が必要なのである。学問とはつまるところ、この判断力を養うことにある。
福澤諭吉
1835.1.10~1901.2.3
学問のすゝめ
初編から十七編の17冊の分冊であったものを、1880年(明治13年)に一冊の本にされました。
初編 1872年(明治5年)2月 ~ 十七編 1876年(明治9年)11月
黒船来航 アメリカのペリー来航 1853年
安政の大獄 吉田松陰没 1859.10.7
明治元年 1868年
日清戦争 1894~1895
日露戦争 1904~1905
NHKの「坂の上の雲」で、秋山好古(阿部寛)が「一身独立して、一国独立す」という力強いセリフ
が印象に残っています。250年の鎖国により世界から後れをとり、有色人種の他の国と同じよう
に植民地支配の危機にあった日本。日清戦争、日露戦争を勝つことで、列強の仲間入りを果た
します。軍事、政治、思想など、明治の偉人が命を懸けたことが、国を守りました。
2015.2.8(日) 貴金属買取相場
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