日本と西欧の五〇〇年史
西尾幹二 著
昨年89歳で亡くなられた西尾幹二さんの遺作とも言うべき大作です。400ページを超し、亡く
なられているということもあり、丁寧に読み進め時間がかかりました。思想としても知識とし
てもたいへん身になる本で、長く論壇の先頭を引っ張ってこられた方でした。
現代社会では暴力や戦闘はあくまでも特別例外の事件であって、日常のことではない。それに
対し中世ヨーロッパは平和は格別のこと、つねならざることであった。暴力が平生に社会のい
たるところに露出していた。軍事的に身を守っていたのは支配階級だけではない。社会全体が
たえず外を、他を警戒していて、すべての者が何らかの攻撃に対して身構えていた。中世とは
ある意味で「身構えた社会」だった、と言ったのはある歴史家の名言である。P212
当時江戸は一〇〇万都市で、武士と町人は各五〇万人ずついた。それに対し幕府の治安統治の
ための武士はわずか三〇〇人だった。警察庁、検察庁、裁判所、刑務所に当たる役割を果たし
た武士がこの数で十分に足りていた、というのだから、ここに西洋との決定的な違いが認めら
れる。近代の法治国家の前提をなす民心の安定は西洋よりも早くに形づくられていたといえる
だろう。P219
一六世紀末には国内総数が五〇万挺を超えて、日本は当時世界一の鉄砲保有国になっていた。
世界の他地域は西洋の火器で制圧され、苦しめられ、これを買い取るために貴金属や奴隷、領
土などを奪われていた。P228
一六世紀の日本が世界最強の陸軍を持っていたとよくいわれるのは必ずしも誇張ではあるまい。
スペイン王のフェリペ二世が日本列島には手を出すな、と出先のフィリピン総督に指示したと
うのも肯ける。
ここまではどの本にも書いてある鉄砲伝来をめぐる愉快な物語である。しかし、じつはこの話
は驚くべきことでは必ずしもない。今あらためて驚くのは、江戸時代に入ってこのような日本
があっという間に武装解除してしまったことである。こちらのほうがはるかに奇異であり、重
大である。P228
西洋の宗教が暴力を内蔵していたのに反し、日本の宗教はそうではなかった点において日本文
明はある段階から優良な文明であることを明示した、むしろそう考えるべきである。ところが
日本の大概の学者はそうは考えない。あくまで西洋が先を歩んでいて、日本は救いがたく遅れ
ていた、そういう観点に囚われている。P231
私たちは平生、私たちの意識が行動を決めているような気がしている。しかし意識は判断を下
す司令塔ではない。意識とは、脳の無意識の部分が動いた結果を単に受動的に受け取って、あ
たかも自らが主体的に決定したかのように錯覚する機能にほかならない。私たちは無意識とい
う幻の中を漂って生きているのである。P257
「近代」とはひとりヨーロッパだけが生み出したものではない。日本の「近代」は独自の歴史
の古層からの結実である。けれども西欧のそれは強力であった。地球の他の地域にとってつね
に模範であり、尺度であった。それは中世ヨーロッパに深い関係がある。信仰・暴力・科学の
母胎は中世に始まる。近代西欧のさまざまな構成要素は中世にすでに形成されていた。P266
歴史は連続している。維新や敗戦を切れ目にすべきではない。歴史には大きな波のような興隆
と衰亡の区別があるのみで、政治上の体制の転換で民族の歴史が中断されて姿を替えたと考え
るのはいたく早計である。P317
しかし現代のわが国に対しても私がしばしば口にする標語は、”日本、この悠々たる孤独の国“
である。いまなお十六-十八世紀のイメージの延長線に置いて見ている。日本は「鎖国」を強
いられたのでも、求めたのでもない。何もしなかっただけである。自然がそれを与えたのであ
る。自分に関する政策を欠いている国、あるいは政策なしで放っておいても何となくうまくい
く国というべきか。日本はもの言わず、黙っていても守られ、自ずと前進する国であるのかも
しれない。P381
全ての災いは人口減少にあるやに思います。しかし「少子化」問題は男と女の間柄の心の問題
であるはずなのに、カネを積めば解決する問題であるかのように扱われていませんか。日本人
はパワーを失っただけでなく人間的知恵まで失ってしまったのでしょうか。P409
来年のサッカーW杯・北中米3ヶ国大会の組み合わせ抽選会が行われました。日本は
F組で、オランダ、チュニジア、欧州プレーオフの勝者です。今大会から出場国が増
え、12組に分かれて48ヶ国が戦います。日本のF組は比較的たいへんな組です。
昨夜はビッグムーンできれいなお月様でした。ただかなり寒かったので、朝は結露が
たっぷりで掃除がたいへんでした。冬ですね。
本日の金相場は、NY商品取引所で前日比1.4ドル高の1トロイオンス4,227.7ドル。
プラチナ相場は、前日比0.1.ドル安の1トロイオンス1,660.5ドル。
原油相場はWTIで59.83ドル、NYダウは47,716.4ドル、米国債10年物は4.136%。
NY外国為替市場では、1ドル¥155.2、1ユーロ¥180.7。
昨日の日経平均株価の終値は¥50,491、長期金利は1.950%。
2025年12月6日(土曜日) 本日の営業時間は10時-15時 明日は定休日です。
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| 14金・K14 | 12,330円/1g | K18/Pt850半々 | 11,410円/1g |
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