女系天皇問題と脱原発
西尾幹二 VS 竹田恒泰 著
この本は、皇位継承問題を巡る女性天皇、女系天皇、女性宮家創設と皇太子殿下・雅子
妃殿下問題と原発問題をテーマに重鎮の西尾幹二氏と旧皇族の竹田恒泰氏の対談形式
になっています。両氏の立場は、女系天皇反対、女性宮家反対、原発反対、ＴＰＰ反対です。
私を含め多くの人が、皇位継承問題を分かりません。新聞やテレビだけを見ていると、過
去には女性天皇はいたし、なんとなく女性でもいいんじゃないと思われるのではないでしょ
うか。また、女性宮家を作れば皇族が増えて皇位継承が安定するなど、ほとんどの国民が
皇室を想い、なんとなく賛成と思っているのではないでしょうか。
まず、女性天皇と女系天皇は全く別だということです。歴史上、女性天皇は８人いたが緊急
避難的な中繋ぎであったこと。その女性天皇は、いずれも男系の女性天皇であったこと。
そして、女帝が即位後に結婚および出産したことは、歴史上一度たりともないこと。
”女系”天皇を認めればやがて”雑系”になってしまう。
天皇が天皇である所以は、２千数百年万世一系の男系で続いてきた血統であるので、
現代人の都合や浅はかな考えで変えることは、歴史に背く行為であると説いています。
小泉政権下と野田政権下で進められようとした結論ありきの有識者会議の結論は、「長子
優先」「女性天皇」「女性宮家創設」。どれも２千数百年続いた歴史を変えようとする蛮行。
いずれも現安倍総理が阻んだのは宿命でしょうか。
しかし、現実的には皇室の未婚の男性は、悠仁親王殿下のみとなり皇位継承問題は深刻
です。側室は無理。そうではなく、ＧＨＱという占領軍により皇籍を除籍（臣籍降下）となった
旧皇族の復活だけが解決に導き、安定的な皇位継承に繋がる。また、女性宮家を創っても
天皇陛下の公務の軽減には一切繋がらないことなど矛盾をついています。
ちなみに竹田さんも旧皇族ですが、自分は政治的な発言も多くしてきたので皇族復帰には
不適格であると発言されています。
「女性」がつくことにより、いままで女性が虐げられてきたや男女平等という言葉を連想させ
ますが、実際には古より男性を排除し女性は受け入れられてきました。藤原氏や平氏など
時の有力者や権力者の娘は皇室に嫁げましたが、息子が養子に入ったことは一度たりと
もありません。
日本社会は古来より、中国や朝鮮と違い養子制度がありました。商売人の家は事業承継
のため、武家の家は名を絶やさぬように血が近いもの、または優秀なものを他家より迎い
入れて名を家を存続させようとしました。
しかし、こと天皇の血筋に限っては唯一絶対として守るという、これだけはありとあらゆる
工夫をして、ぐらつかないようにしている。天皇は、朝廷の主であるだけでなく、日本全体
を一つの「家」としたときの家長であると観念され続けてきた。そのため、皇位の継承につ
いては、他の家とは比較にならないほど神経質であり、厳格である。そして皇位は皇祖以
来現在に至るまで、ただ一つの例外もなく、男系継承の大原則を貫き通してきた。
【西尾幹二】
基準は歴史であって、「国民の平均的な考え方」などであってはならないからだ。首相を
選ぶのではなく、天皇の世継ぎを選ぶのに民主主義の方法はないだろう。私はそのとき
男系継承が自明であり他に選択の道はないことを、系図を掲げて説いた。
今の日本の危うい社会を古代社会と同じように考えていて、古代から続く原則を１つでも
曲げれば、制度自体が危うくなるかもしれないという警戒心を、まるで持っておられない。
【竹田恒泰】
ここで重要なことは、たとえばキリスト教におけるマリアの処女懐胎やキリスト復活を、合
理的、科学的に否定することが、信仰という西洋文化においてまったく不毛であるという
ことと同様に、２千年以上日本の国柄の中心であらせられた「天皇」の存在を、解剖学的
に分析するのではなく、いかに伝統を護るかという視点であろう。「天皇」の原理そのもの
を変えてしまいかねない議論は、よほど慎重でなければならない。
女性宮家創設推進の小林よしのり氏などは、Ｙ染色体など科学的根拠により女性宮家
創設反対派の批判を行いますが、この本でも２人は科学的根拠などには一切触れられ
ておらず、「歴史の重み」による正統性が語られています。
【女系天皇問題と脱原発 西尾幹二 VS 竹田恒泰 著】
天皇制と言う言葉を作ったのは、日本共産党です。それをマスコミが使い始めた。よく言わ
れるように、共産党・社会党のような日本の共産主義者に愛国心はなく、いかに日本を弱
体化させるかが目的となっています。天皇廃絶、憲法９条堅持、自衛隊反対、日米安保
反対、沖縄基地反対、オスプレイ反対、外国人参政権推進、全部セットで考えています。
日本は世界で最も歴史ある古い国であり、最も長い血統の皇室を持ち、天皇が日本の国体
であることは疑いようもありません。戦前の否定を掲げ、戦後だけで日本を語ることは到底
できようもありません。ただ一度の敗北で、日本が根本的に変わるわけではありません。
ということが、対談形式の本になっています。
本を読むと知らないことは多いなぁといつも感じます。それをテレビや新聞をちょっと読んだ
だけで知ってるつもりになることが一番怖いことです。テレビに導かれた知識は、テレビに
よる思想です。結論ありきの知識・思想は要注意です。
この問題でも反対派、賛成派、両方の意見を知り正確な情報を持つことが大切ですね。
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