死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
門田隆将 著
著者は、「この未曾有の事故の真実をきちんと後世に伝えなければならない」という想いから
この本を書いたそうです。吉田所長や現場の人、政治家、官僚や家族にまで取材されたノン
フィクションです。テレビや新聞では伝えなれない、刻一刻と迫る当時の緊迫した様子がよく
分かります。また、時の内閣総理大臣・菅直人がいかに邪魔であったかも証言されています。
現場で奮闘した多くの人の闘いに敬意を表すと共に、私は、やはりこれを防ぎ得なかった日本
の政治家、官庁、東京電力・・・・・等々の原子力エネルギーを管理・推進する人々の「慢心」に
思いを致せざるを得なかった。
日本だけは「テロの対象」になり得ない、あるいは、日本では原発がミサイル攻撃を受けるは
ずがない、という幼児的ともいえる楽観思考は、原子力行政にあたる指導者として、あるいは
実際の原子力事業にあたるトップとして「失格」であると私は思う。
「極端」に流れるのではなく、代替のエネルギーができ上がるまで、資源小国の日本がなんと
か成り立つ方策は何か、国民全体で冷静に知恵を絞らなければならないと思う。
その時のことを聞こうと取材で彼ら(作業員)に接触した時、私が最も驚いたのは、彼らがその
行為を「当然のこと」と捉え、今持って敢えて話すほどでもないことだと思っていたことだ。
【死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 門田隆将 著】
東日本大震災(2011.3.11)により、起こるはずのない、起こってはならない原発事故が
起きてしまいました。福島第一原発1号機の営業運転が開始されたのが1971年。アメリカ
GE社の沸騰水型。この古い原発が、東芝や日立の新型であれば防げたはずの事故です。
原発ができたことで村の予算は潤沢になり、冬に出稼ぎに行き家を空けるということもなくな
りました。事故後、作業にあたった多くの作業員が地元出身の人で、危険を顧みず、故郷を
守るために戦いました。海外メディアは、「フクシマ・フィフティ」と敬意を込めて呼びました。
この本の初版は2012年12月。私が今回この本を読んだのは、この命懸けで戦った作業員
を卑下する朝日新聞の「吉田調書」なるキャンペーンが始まったからでした。朝日新聞を引用
し海外メディアでは、韓国の旅客船沈没事故と同様の逃げた卑怯者の作業員という記事が
世界中に配信され駆け巡っています。
吉田調書は、吉田所長に政府の事故調査委員会が28時間にも及び行った聴取で、非公開
を約束したものでした。吉田所長が非公開を希望したのは、精神的にも肉体的にも極限の状
態で、自身の記憶に間違いがあった場合その情報が独り歩きをすることを恐れたためでした。
事故調に保管されているこの調書を、関係者のだれかが朝日新聞にリークし、それをスクー
プの形で流しました。朝日新聞は、エース記者をそろえてこの吉田調書に力を入れています。
朝日新聞の見出しは、「原発 命令違反し九割撤退」福島第一所員、震災4日後。
吉田調書は、今も非公開となっているので事故調以外で見たのは朝日新聞の記事関係者
だけということになります。記事の中で、吉田調書を引用した部分を読んでも吉田所長の命
令に反し9割が逃げたという部分は読み取れません。朝日新聞の勝手な解釈なのです。
≪著者の門田隆将氏のHPより≫
「ああ、またか」というのは、ほかでもない。ある「一定の目的」のために、事実を捻じ曲げて
報道する、かの「従軍慰安婦報道」とまったく同じことがまたおこなわれている、という意味
である。私は帰国後、当該の記事を目の当たりにして正直、溜息しか出てこないでいる。
つまり、記事は「所内の別の場所に退避」を命じた吉田所長の意向に反して「逃げたんだ」
と読者を誘導し、印象づけようとする目的のものなのである。
最悪の事態の中で踏ん張り、そして自分の役割を終えて私たちの前から足早に去っていっ
た吉田氏。そんな人物を「貶める」ことに血道をあげるジャーナリズムの存在が、私には不
思議でならないのである。
著者の門田さんは、吉田所長にジャーナリストとして唯一、直接、長時間にわたってインタ
ビューをした人であり、関係者にも広くインタビューした人です。この本の中にも、朝日新聞
が記事にした最悪の日が克明に描写されており、朝日がいかに間違った解釈をしているこ
とが分かります。
従軍慰安婦、南京大虐殺、そして今回の記事といい朝日新聞には何か目的があるのかと
思わざるを得ません。いかに日本を貶めるかに主眼が置かれ、事実よりも「目的」を達成す
ることがジャーナリズムを超えています。それを「プロパガンダ」といいます。
原発事故後、最初に所内に入ったのが青山繁晴さんでした。朝日新聞は、完全が確保され
てから他のメディアとご一緒に。
吉田昌郎 1955.2.17~2013.7.9
事故当時の福島第一原子力発電所所長、東京電力株式会社執行役員。
体格がよく、社員だけでなく協力会社にも人望があり、仏教に造詣が深ったそうです。
「私はあの時、自分と一緒に”死んでくれる”人間の顔を思い浮かべていたんです」
本日の金・プラチナ相場は、アメリカは独立記念日のためマーケットは休場。
ロンドン外国為替市場では現在、1ドル¥102.0、1ユーロ¥138.7。
2014.7.5 貴金属買取相場
18金・K18 3,430円/1g プラチナ850 4,340円/1g
インゴット100g以上 4,540円/1g プラチナ900 4,510円/1g
24金・純金製品 4,400円/1g プラチナ1000 4,940円/1g
14金・K14 2,500円/1g K18/Pt850半々 3,800円/1g
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