大河ドラマ軍師官兵衛は、秀吉が死に再び動乱の世になります。残り５話。
昨夜の放送は、主君が家臣に家臣が主君に謝り、嫁が姑に姑が嫁に謝り、もちろんフィクショ
ンですが、日本人らしい話でした。秀吉の死で、明・朝鮮からも撤退します。朝鮮出兵は、二度
にわたり行われ文禄・慶長の役、朝鮮征伐とも言われます。
文禄の役 １５９２．４?１５９３．７
総大将・宇喜多秀家。日本軍１６万人、明・朝鮮軍２５万人。
慶長の役 １５９７．１?１５９８．１２
総大将・小早川秀秋。日本軍１５万人、明・朝鮮軍２２万人。
戦後教育を受けた我々は、「無謀な秀吉の私戦」と捉えがちですが、実際には当時の日本軍
の兵力は、武士などの戦闘員数だけでなく、銃の数も世界一であったと推定されています。
それに加え水軍の強さもあり、決してゾウに向かうネズミではなかったということです。
当時の明・朝鮮は、５０年後に明を倒し清を樹立する女真（満州族）や元の名残の騎馬民族
などが仮想敵国であったため、日本の最新の兵器に比べ見劣りしました。また、明は国内の
派閥争いから日本の軍事的脅威に対して準備が遅れていたこともあり戦争初期は日本優位
に進みました。
李氏朝鮮の王や家臣は、臣民を置き去りに逃げたことから日本に協力する者も多くでました。
ルイス・フロイスが書き残した記録では、「朝鮮人たちは、恐怖も不安も感じずに、自ら進んで
親切に誠意をもって兵士らに食物を配布し、手真似でなにか必要なものはないかと訊ねる有
様で、日本人の方が面食らっていた」。
先々回の放送で、朝鮮水軍に補給路を断たれたとありましたが、実際にはそのような史実は
一切なく、書状や手紙が頻繁に届けられるほどでした。
韓国では今夏、この海戦の朝鮮軍の将軍・李舜臣を主役とした映画「鳴粱」が、観客動員数
１６００万人を超え韓国史上最高のヒットになったそうです。相変わらず、史実そっちのけで美
化されたストーリーのようです。
秀吉の死後、小西行長が明と講和し撤兵となりますが、李舜臣は講和を無視し、しんがりの
小西軍に攻撃を加えます。露梁海戦と呼ばれる海戦です。双方に大きな損害が及び、李将
軍は被弾しその傷がもとで死亡。壊滅状態の朝鮮軍と島津軍の援軍もあり、撤退は完了し
ました。
明史 清の時代に編纂された歴史書。二十四史の一つ。
豊臣秀吉による朝鮮出兵が開始されて以来７年、十万の将兵を喪失し、百万の兵糧を労費
するも、中朝と属国に勝算は無く、ただ関白が死去するに至り乱禍は終息した。と記載。
豊臣秀吉の朝鮮征伐は、日本、明、朝鮮にとって負担は計り知れないほど多大でした。しか
し、その歴史のなかには負の面だけでなく正の面もありました。日本と明には少なかった正
の面ですが、朝鮮にとっては鉄砲の最新技術が伝わり、なにより唐辛子が日本から伝わっ
たことで、韓国料理の顔というべき「キムチ」が生まれました。韓国人にとって嫌な言い方を
すれば、秀吉によって生まれたキムチなのです。
関ヶ原の戦い（１６００．１０）まで２年を切りました。そして、黒田如水・官兵衛の戦いももうす
ぐ終わります。さみしいですね。
ケネス・スオープ アメリカ・ボールステート大准教授
明軍は弱いというイメージは明を倒した清により作られたもので、当時は武器も優秀で精強
だった。一方の秀吉軍は戦乱で鍛え上げられた世界最強の軍団。両者の激突は１６世紀世
界最大の戦争だった。」 （朝日新聞 「倭乱」と東アジア 韓国の国際シンポから）
【日本の神社 宇佐神宮 神功皇后】
日本が、軍事的に朝鮮に渡ったのは、神功皇后の三韓征伐や白村江の戦いがあります。
三韓征伐
応神天皇の母君である神功皇后が、応神天皇を身籠ったまま出兵し新羅、百済、高句麗を
服属させた戦い。古事記、日本書紀。九州では、神功皇后所縁の地も多く、八幡様の総本社
宇佐神宮もその一つです。宇佐神宮の主祭神は八幡三神と呼ばれ、応神天皇、比売大神、
神功皇后が祭られています。
白村江の戦い ６６１?６６３
日本が属国であった百済を救うため、唐・新羅との朝鮮半島での戦争。日本の敗北に終わり、
朝鮮半島での権益を失います。その後、高句麗の滅亡、新羅による朝鮮半島の統一。新羅
は、唐の冊封体制に組み込まれます。
学校では教えない、習わない、日本の歴史です。
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